テンゲングラムとは

前院長/橋本敦生

テンゲングラムは江戸の武士であった横山丸三によって伝えられた天源術(テンゲンジュツ)に由来した言葉です。天源術は東洋の占星術ですが、そこに描写された性格類型は現代の性格心理学をしのぐ大変優れた内容を持っています。
私は心療内科医の立場から医療面接や心理療法に欠くことができないツールとしてNLP(神経言語プログラミング)を学んできました。NLPは知覚と言葉を中心に、人と人とのコミュニケーションや生活習慣の変革を目指した実用心理学ですが、NLPに天源術の性格類型を加えて考案したのがテンゲングラムなのです。

次のような方にこのテンゲングラムを学ぶことをおすすめします。
(1)職場や家庭で対人関係を改善したい方。
(2)人生の意義や生き方について考えを確かめたい方。
(3)人と人とのコミュニケーションが特に重要な役割を演じる仕事にたずさわっている方。
例えば医療、教育、看護、人事など。
(4)自分の性格を知り短所を調整し、長所を伸ばしたい方。

 

淘宮術

人の性格は千差万別で、「そもそも性格とは何か?」に答えるのも容易ではありません。
しかし、「Aさんはいつもうっかりして物を無くしてしまう」とか「Bさんは話し掛けてもなかなか返事をしてくれない」など誰にでも何かの特性があるのはすぐ認められることでしょう。

このような特性群を12種類にまとめたのが天源12気の描写です。12気には滋、結、演、豊、奮、止、合、老、緩、堕、煉、實と名前がついています。

「テンゲングラム」の元となる考え方のひとつである「淘宮術」では、12の気にそれぞれ典型的な人相が著されています。

以下の12気は人の機能を表すものです。つまり人はジ、ケツ、エン、ホウ、フン、シ、ゴウ、ロウ、カン、ダ、レン、ジツという機能を備えているのです。性格という現象はこの12の機能の強弱が個人個人で異なるために生じます。

ジの機能は蓄財です。良く働き、粗衣粗食を厭わず、無駄使いをしません。
人との交際で出費を惜しむので嫌われます。知られてもいいことまで物陰でひそひそ話しをする癖があります。
ケツの機能は決まったことを守ることです。融通がきかないのは日本の官僚そっくりです。
無口でお互いの連絡をとることが苦手です。反面指示されたことをきちんと守るので信頼されます。
人から話しかけられても返事をしない癖があります。
エンの機能は指図することです。大局的な捉え方は得意ですが細かい注意は怠り勝ちです。
常に人より上の立場に居たいので、見栄を張ってよけいな出費をします。どなりつけたり、脅す癖があります。
ホウの機能はリラックスすることです。物ごとをやりっぱなしにするので用が溜まってしまいます。
寛容で静か、人と争うことは大嫌いです。美食と朝寝坊が好きでメタボリック・シンドロームの予備軍です。食欲を代表します。
フンの機能は既存の観念や体制の破壊です。革命のエネルギーを与えます。
日常の生活では怒気を表して、平地に争いを起すのを楽しむふうがあります。
言葉に棘があって、人の気に障ることを我知らずに言ってしまいます。
シの機能は競争です。常に自分と他人を比較し、負けないように向上しようとします。
そのため嫉妬心が深く、悪くするとヒステリックになってしまうこともあります。
気品があって上品なものを好みます。
ゴウの機能は楽しむことです。賑やかなこと、派手なことが好きで人と親しみやすいのが特徴です。
自分の感情を隠すことや秘密の情報を護ることが出来ません。性欲を代表します。
ロウの機能は探求です。何がより正しいのかを追求して止みません。だからいつも迷っているのです。
後悔と取り越し苦労が絶えません。同情心,慈悲心が豊かで、涙もろいです。嗅覚が鋭敏です。
カンの機能はサービスを与えることです。その場その場で必要なこと(物や助言)を親切に提供します。
しかし、度が過ぎるとお節介になって人と衝突してしまいます。慌てんぼうで勘違いや度忘れが多いです。
会話の中で作り話を混える癖があります。
ダの機能は創造です。知恵を働かせて科学や芸術や医療の場面で活躍します。
しかし、裏工作に走り一気に大望を遂げようとする場合(汚職、談合、株の不正取引など)には身の破滅となりかねません。
レンの機能は建設です。忍耐力が強く目標を達するまで挫けません。
スポーツや芸能の場面では納得するまで練習を繰り返すので技能を身に付けるには必要な性質です。
一面やせ我慢が多く、意地悪で理屈っぽいので家庭内の不和が絶えません。
ジツの機能は能率です。てきぱきと事務を片付け、終わりまで成し遂げます。
人に構わず自分ひとりで何でも決めてしまい、失敗することがあります。
外から帰ってきたとき門口で何か文句を言いながら入ってくる癖があります。